Happy Unbirthday Songs

hokkaido→tokyo/tsukuba→moscow

カルチャーセンター・ドム(культурный сентер ДОМ) その1

朝の10時からお昼過ぎまで授業を受けた後、ナヴァクズネツカヤ駅の側のカルチャーセンター・ドム(家)に行くことに。10月11日と12日に公演予定の、河内純さん監督の音楽詩劇、「ドリーンニェ・ルキー(長い手)フェスティバル」のチケットを買うためだ。

5月に新宿で行われた石橋幸さんのライブを聞きに行った際、私は偶然、バックでストリングベースを演奏していた河内さんとお話する機会に恵まれた。このライブでは、石橋さんが何十年にもわたり集め、歌い継いできたロシアのアウトカースト、主にジプシーの人たちの歌を聞くことができた。石橋さんの声には迫力があり、優しさがあった。

その歌声をバックで支えていたのが河内さんである。河内さんは楽器の演奏だけでなく、オリジナルの「音楽詩劇」の監督もされていて、来る10月、アルメニアとモスクワにて、日本の仲間たちやロシアの音楽家と共に公演を行うのだという話を伺っていた。こうしてモスクワで、河内さんの演奏や作品に触れられることができるというのは、本当にうれしいことだと思う。

 

私の最寄駅から2回の乗り換えを経てナヴァクズネツカヤに到着する。18時をまわったモスクワは帰宅ラッシュ、駅はたいへんな人混みだ。みんな足が長いからなのだろうか、とにかく歩くのが速いこと速いこと。私はただ一人、事前に調べた地図に目を凝らし、一度、曲がる通りを思い切り間違えながらも、なんとかドムと思しき施設の前に到着した。

外見はこじんまりとした、目立たない白壁の建物なのだけれど、ドアを開けるとすぐ、リハーサル中なのだろうか、楽器のチューニングやマイクのテストをしているような音が聞こえた。入り口のおじさんに、チケットを買いたいんですけどと伝えると、あっち、と奥の部屋を教えてくれた。

部屋の中に入ると、書類に囲まれた机の前の椅子に、40代くらいの男性が座っている。男性は突然の私の訪問に少し驚いたようだったけれど、10月11日と12日の、「長い手」のチケットが欲しいんですと伝えると、ああ了解、というように、机の引き出しから白い紙きれを出し、そこにスタンプを押していった。1公演800ルーブル(約1200円)のチケットを2枚買う。3時間ほどの公演だと聞いていたけれど、こんなお手頃な値段でいいのかとすこし驚く。髭を生やし、手元のマグカップには真っ黒なコーヒーが入っていて、ほんの少しとっつきにくそうな雰囲気のある男性だったけれど、私は、なんだか妙に話しかけたくなってしまった。

「河崎さんご存知ですよね?わたし、東京でお会いしたんです」というと、「あ~」という顔で、男性の表情が少し緩んだ。その後に彼がなんて言ったのか、残念ながら聞き取れなかったのだけれど、「来てください来てください」と言ってくれたのがうれしかった。チケット買うためだけに1時間かけてやっとこさ来たのだけれど、やっぱり人に会って話すことができれば、そんな時間や疲れなんてふっとんでしまうのである。

 

それにしても、公演、本当に楽しみ!